治療を続けない(1) – 主治医に無断で通院をやめる

主治医は診断と経過から総合的に判断し、通院が不要となる時期を決定します。勝手な判断で「治った」から通院をやめると、これまでの治療の成果も台無しになるかもしれません。通院を終える時期は、必ず主治医と相談をして決定し従いましょう。また、復職したため通院のための時間をとりにくくなることもありますが、その場合は勤務時間の調整のため会社を交えて相談することも必要となってきます。

病気を治すのは誰?

病気を治すのは「医者の仕事」と思っていませんか。分かってくれないから、元気になったから、と言って安易に通院を止めてしまうのは再発リスクを高めることになります。病気を良くしていくのはあなた自身です。主治医はその手助けをするだけです。主治医と二人三脚で一歩一歩治療をすすめていきましょう。

分かってくれないから?

≪分かってくれないから・・・≫とはどういうことでしょうか。

医者はあなたを診ただけで分かるものではありません。あなたにとって「良い医者」とは、ご自身の正確な情報を医者に伝えることによって、病名が分かり、薬の処方も分かってくるのです。このような治療関係が築けているのが、あなたにとっての「良い医者」なのです。

聞きたいこと伝えたいことは何?

復職後の通院は月に一回くらい、それも平日の勤務時間を調整しながらの貴重な受診時間となります。

今日はこの事を伝えよう、この事を聞いてみよう、と思うことを頭の中でまとめておく、もしくはメモしておく。そのことがより主治医にあなたのことをわかってもらう手助けになります。でも得てして、受診日直前の状態しか伝えられないことがありますね。一か月の変化が一目で分かるように、日々「生活記録表」を記入し、それを主治医に見てもらえばよりあなたのことがより伝わりやすくなります。

元気になったから?

≪元気になったから・・・≫とはどういうことでしょうか。

ひょっとして、一番悪かった時と比べてはいませんか?あなたの状態は「完治」でしょうか?それとも「寛解」でしょうか?この2つの言葉はどちらも『治癒』に含まれています。

「完治」とは?

では、「完治」とは。病気やケガが完全になおること。このウイルスで病気になったのです、というのなら、ウイルスが体にないことを確認すれば「完治」です。骨折なら骨がちゃんとつながっているのをレントゲンで確認して、日常生活にも問題がないことが確認できれば「完治」です。

「寛解」とは?

では、「寛解」とは。病気やケガが完全になおったと思われる状態。精神疾患に限らず、再発の可能性がある疾患には「寛解」という表現が使われます。「寛解」とは、症状が一時的に軽くなったり、消えたりした状態のことです。このまま治る可能性もありますが、場合によっては再発するかもしれません。
ところが精神疾患の場合、「完治」したと思い込み、ついついオーバーワークになってしまい再発するケースが多々あるのです。

まとめ

私達は感情動物ですから、感情の波は常にあります。でも精神疾患に罹る方はその波が大きいのです。大切なことは「寛解」という意識を持ちながら波の浮き沈みを小さく抑える意識を持つことです。その為には、日頃から自分のストレスのはけ口や効率よくストレスを発散させられる方法を見つけておくことではないでしょうか。